ハイサイ、レイジンです。
3月は、5歳児にとって保育園・幼稚園での最後の1カ月。もうすぐ卒園を迎え、小学校という新たな環境へと羽ばたく時期です。
この時期の子どもたちは、期待と不安が入り混じった気持ちを抱えながらも、これまでの経験を自信につなげ、一人ひとりが成長を実感する大切な時期。友だちや保育者との関わりを楽しみながら、「自分は大丈夫」「小学校でも頑張れる」という気持ちを育むことが重要です。
そこで今回は、5歳児の3月の月案について、「ねらい」「内容」「保育者の援助」「環境構成」「健康・食育・安全」「家庭との連携」「職員間の連携」の文例やポイントを紹介します。卒園までの1カ月を充実したものにしていきましょう。
それでは、いってみよー!
5歳児・3月のねらいと内容
では、5歳児・3月のねらいと内容を見ていきましょう。
ねらい
○ 友達と一緒に遊びや生活を進める楽しさを味わい、自信を持つ。
○ 卒園までの見通しを持ち、友達と遊びや生活を楽しむ。
○ 互いの成長や良さを認め合い、協力しながら充実した時間を過ごす。
○ 友達とのつながりを深めながら、成長を喜び合い、心地よく過ごす。
○ 身近な自然の変化に気づき、春の訪れを感じながら友達と伝え合う。
内容
・卒園までの生活に親しみを持ち、さまざまな活動に意欲的に取り組む。
・一日の流れや卒園、就学に向けた見通しを持ち、前向きに過ごす。
・これまでの成長を実感し、小学校生活への期待を膨らませる。
・これまで親しんだ遊びのルールや方法を工夫しながら、友達と繰り返し楽しむ。
・遊びの中で自分の良さを発揮し、友達と協力しながら充実した時間を過ごす。
・お世話になった人や年下の子どもに親しみを持ち、感謝の気持ちを表現する。
・園での思い出を振り返りながら、自分の成長を喜び、友達と過ごす心地よさを感じる。
・卒園に向けて、友達と協力しながら、さまざまな活動に前向きに取り組む。
・自分の思いや考えを、言葉や表現活動を通して伝えることを楽しむ。
・自然の変化に気づき、春の訪れを感じながら友達と共有する。
・球根の成長や生き物の変化に興味を持ち、調べたり観察したりする。
・季節の歌や物語に触れながら、春の訪れや友達とのつながりを感じる。
ねらい・内容のポイント
3月は、これまでの園生活を振り返りながら、卒園に向けて気持ちを整える大切な時期。
✅子どもたちが自分の成長を実感し、友達とのつながりを深めながら、安心して次のステップへ進めるような環境を作ることがポイント。
✅好きな遊びや活動を繰り返し楽しみながら、成功体験を積み、自信を持って就学への期待を高められるようにしていきたいですね。
✅また、春の自然に触れたり、感謝の気持ちを表したりする経験を通して、周囲との関わりを大切にする気持ちも育んでいきましょう。
ご自身の園に合ったねらいや内容を参考にしていただければなと思います。
5歳児・3月の保育者の援助と環境構成

では、次に保育者の援助と環境構成を見ていきましょう。
保育者の援助
◎卒園までの見通しが持てるよう、カレンダーに予定を書き入れたり、話題にしたりする。
◎卒園に向けた活動の中で、頑張っていることやできるようになったことを認め、自信につなげていく。
◎子どもたちが残りの園生活でやりたいことを話題にし、提案したり計画したりしながら、遊びや生活への期待を高める。
◎園生活を振り返りながら、お世話になった人への感謝の気持ちを持てるようにし、どのように伝えるかを子どもたちと一緒に考え、実践する。
◎就学に不安を感じている子どもの気持ちに寄り添い、安心できるように関わる。
◎年中児と一緒に当番活動を行う機会をつくり、優しく接したり、わかりやすく伝えたりする姿を認める。
◎園内の掃除では、感謝の気持ちを持ち、次の年の子どもたちへ大切に引き継げるよう促す。
◎年下の子どもに思いやりをもって接したり、4歳児に当番活動のやり方を伝えたりする姿を認め、自信へとつなげる。
◎残りの園生活が楽しい思い出になるように、保育者も遊びに加わり、子どもたちと一緒に楽しむ。
◎やりたいことを存分に楽しみながら、互いに思いや考えを伝えたり、励まし合ったり、良さを認め合ったりする姿を大切にする。
◎みんなで卒園製作に取り組んだり、歌を歌ったりする機会を設け、友達とのつながりを深める。
◎木々の色づきや花のつぼみのふくらみなどに気づけるように促し、子ども同士で発見を伝え合う喜びを感じられるようにする。
◎卒園や就学を意識し、その思いを絵に描いたり、保育室の装飾や整理整頓をしたりするなど、自由に表現できるようにし、必要な物の準備を一緒に行う。
◎これまでの作品や遊び、活動の写真を子どもの目線の高さに掲示し、友達と振り返りながら成長を感じられるようにする。
◎保育者も一緒に戸外で遊びながら、日差しや風の温かさ、木々の花やつぼみのふくらみに気づけるようにし、発見や調べたことを伝え合う機会をつくる。
◎園庭の球根や草花、池の生き物の変化に目を向け、数や形、色、匂い、大きさなどを感じ取れるようにする。
環境構成
□ これまで楽しんできた遊びをいつでもできるように、必要な道具や環境を整えておく。
□ 好きな遊びに存分に取り組めるよう、十分な時間と空間を確保する。
□ 友達と互いの成長を喜び合えるように、この1年を振り返り、がんばったことや楽しかった思い出を伝え合う場を設ける。
□ 友達と一緒にやりたいことを実現する楽しさを感じられるように、多様な素材や道具を用意し、継続して遊べる場所や時間を確保する。
□ 遊びや生活の流れ、卒園・就学までの見通しを持てるように、時計や書き込み式のカレンダーを用意する。
□ お世話になった人に感謝の気持ちを伝える方法を子どもたちと考え、表現できる機会を作る。
□ 友達とのつながりを感じながら、春の歌や就学に向けた絵本をじっくり楽しむ時間を設ける。
□ 春の自然にふれられるように散歩に出かけたり、春に関する絵本を読んだり、歌をうたう機会を作る。
□ 興味や関心が深まるように、図鑑や科学絵本、虫メガネなどを用意し、子どもたちが自分たちで調べたり観察したりできるようにする。
保育者の援助と環境構成のポイント
5歳児の3月は卒園が近づく特別な時期。
子どもたちが自信を持って次のステップに進めるよう、環境や関わりを工夫していきましょう!
✅ 「好きな遊びを思いきり楽しめる環境を」
これまで楽しんできた遊びを、「またやりたい!」と思ったときにすぐできるように道具をそろえておきましょう。
時間やスペースも確保して、たっぷり遊べるようにするのがポイント!
✅ 「卒園までの見通しを持てるように」
卒園や就学が近づくとワクワクする反面、不安を感じる子も。
カレンダーや手作り時計を使って、「あと○日で卒園だね!」と話題にすると、気持ちが整理しやすくなります。
✅ 「友達とのつながりを深める」
みんなで協力して作る卒園製作や、思い出を振り返る時間をつくりましょう。
「一緒に頑張ったね!」と感じる経験が、自信や成長につながります。
✅ 「感謝の気持ちを伝える場を」
お世話になった人や年下の子に、「ありがとう」を伝える機会をつくりましょう。
手紙を書いたり、プレゼントを作ったり、子どもたちとどう伝えるか考える時間を持つのも◎。
✅ 「春の訪れを感じられる体験を」
散歩や戸外遊びで、「花が咲いてる!」「あったかいね!」と季節の変化を楽しめるように。
図鑑や虫メガネを用意して、発見する楽しさを広げるのもおすすめ!
「楽しかった!」と笑顔で卒園できるように、子どもたちが安心して過ごせる環境を整えていきましょう!
健康・食育・安全について
続いて、健康・食育・安全についてみていきましょう。
健康
● 花粉症の症状が出始める時期なので、家庭と連携をとりながら、子ども一人ひとりの体調に合わせた対応を行う。
● 気温の変化が大きいため、衣服の調整がしやすいように声をかけ、快適に過ごせるようにする。
● 進級や卒園に向けて気持ちが高まる一方で、疲れや緊張が見られることもあるため、十分に休息をとれるよう配慮する。
3月・健康のポイント
3月は暖かくなり始める一方で、花粉や気温差による体調不良が出やすい時期です。
✅ 花粉症の子どもには、家庭としっかり連携をとって、必要に応じてマスクや目薬の準備をお願いすることが大切。
✅ 衣服の調整ができるように意識づけたり、疲れがたまりやすい時期だからこそ、休息の時間をしっかり確保することもポイント!
子どもたちが元気に過ごせるように、ちょっとした変化にも気を配っていきたいですね。
食育
◇ みんなで食事をする楽しさを感じられるよう、子どもたちと一緒に食事の計画を立てる。
◇ ひな祭りの行事食やお別れ会食では、伝統的な文化やお祝いの意味を伝えながら、みんなで食べる時間を楽しめるようにする。
◇ 食事の場面で友達との会話が弾むよう、リラックスした雰囲気づくりを大切にする。
3月・食育のポイント
3月は、ひな祭りやお別れ会など、特別な食事を楽しめる機会が多い時期。
✅ 行事食の意味を伝えたり、子どもたちと一緒に食事の場を考えることで、より思い出深い時間になります。
✅みんなで食べることの楽しさを存分に味わえるように、雰囲気づくりを大切にする。
といった部分を意識していきたいですね。
安全
★ 小学校入学後の一人での登下校を見据え、横断歩道の渡り方や信号の確認方法を繰り返し伝えていく。
★ 通学路を実際に歩きながら、安全に歩くポイントや危険な場所を一緒に確認する。
★ 「知らない人についていかない」「困ったときは近くの大人に助けを求める」などの防犯対策も、具体的な場面を想定して話し合う。
3月・安全のポイント
小学校就学に向けて安全な道路の歩き方や不審者などの防犯対策についても話しておきましょう。
✅ 安全な登下校のためには、繰り返し練習することが大切。
✅ 事前に通学路を歩いて確認したり、危ない場所を知っておいたりすることで、子ども自身の意識も変わります。
また、「どうしたら安全に歩けるかな?」と日常の中で問いかけることで、考える力も育ちます。
家庭との連携
◇ 卒園が近づく中で、子どもたちの成長を実感できるように、これまでの遊びや活動の写真を掲示し、保護者と一緒に振り返る機会をつくる。
◇ 保護者が安心して就学を迎えられるよう、子どもの変化や不安定さについて共有し、相談しやすい雰囲気をつくる。
◇ 小学校入学に向けて、規則正しい生活リズムや身支度の習慣を整えることの大切さを伝え、家庭で取り組めるようにする。
◇ 通学路の安全確認ができるよう、親子で実際に歩いてみることをすすめる。
家庭との連携のポイント
3月は卒園に向けて、子どもたちだけでなく、保護者にとっても大切な時期。
✅ これまでの成長を振り返り、喜び合えるような場づくり をしていきたいですね。
✅ 就学への不安や疑問にはしっかり寄り添い、親子でスムーズに新生活を迎えられるようにサポート していくことも大切。
「保育園・幼稚園のラストスパート!」という気持ちで、楽しい思い出をたくさん作っていきましょう。
職員間の連携
* 子どもたちがやりたいことにじっくり取り組めるよう、職員同士で時間や場所の調整を行い、環境を整える。
* 卒園に向けた活動がスムーズに進むよう、子ども一人ひとりの気持ちの変化を共有し、適切に関わる。
* 保護者対応や行事の準備など、職員間で役割分担を明確にし、スムーズに進められるようにする。
3月・職員間の連携のポイント
3月は卒園前の大切な時期。
✅ 子どもたちが「やりたい!」と思ったことをしっかり楽しめるように、職員間で連携して環境を調整することが大切。
✅ 一人ひとりの気持ちに寄り添いながら、最後まで安心して園生活を楽しめるようなサポートを意識する。
職員みんなで協力して、子どもたちの「やり切った!」を支えていきましょう。
おわりに
3月は、子どもたちにとっても、保護者にとっても、そして保育者にとっても特別な1カ月。
卒園を控えた子どもたちは、期待と不安を抱えながら、残りの園生活を思いきり楽しんでいます。
そんな子どもたちが、「卒園おめでとう!」と笑顔で送り出せるように、一人ひとりの気持ちに寄り添いながら、遊び・生活・行事すべてを丁寧に積み重ねていくことが大切ですね。
また、保護者との連携や職員同士の協力も欠かせません。みんなで力を合わせて、「最高の卒園」を迎えられるようにラストスパートをかけていきましょう!
この記事が、日々の保育や月案作成の参考になれば嬉しいです。
子どもたちと過ごす最後の1カ月が、思い出いっぱいの宝物の時間になりますように。
それでは、またやー!
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