ハイサイ、レイジンです。
前回『家庭内における心理的安全性はどれくらい重要なのか~心理的安全性を高めてのびのび過ごせる子どもへ~ 』ということで、家庭での心理的安全性の重要性について述べさせてもらったのですが、今回は保育現場においても『心理的安全性』は重要だよーということを述べていきたいと思います。
保育者主導の割合が大きいクラスでは、子ども達が自分の意見がなかなか言いづらい面もあるでしょう。
職員同士でもオープンに話し合えない関係だと、人間関係に難が出てきます。保育現場で離職率の高い原因は人間関係だといわれていますしね。
心理的安全性を高め、子ども達が過ごしやすく、職員が働きやすい園にしていけるために必要なことを考察していきます。
それでは、いってみよー!
保育現場において心理的安全性が必要な理由
心理的安全性とは、「自分の気持ちや考えを安心して発信できる状態」のこと。Googleが効果的なチームの特徴を分析したところ「心理的安全性が高いチームほど離職率が低く、収益が高い」ということが分かっています。
では、保育現場において、心理的安全性はどのようにかかわってくるのでしょうか。
保育における子ども達との関係における心理的安全性が必要な理由
保育者と子ども達との関係では、心理的安全性があることで、子ども達がのびのびと自分を発揮できるようになることにつながります。
心理的安全性があることで ・信頼関係が構築できる →保育者が子ども達の意見を丁寧に受けとめたり、理解したりすることで、子ども達は保育者を信頼し、安心感が生まれる。 ・コミュニケーション力の向上 →保育者は子どもたちの声に耳を傾け、尊重し、受け入れることで、子ども達は自分の考えを自由に表現できる ・多様性を認める →一人ひとりの個性を認め、違う意見も受け入れる ・失敗を許容できる雰囲気がある →子どもたちが失敗や間違いを恐れず、新しいことに挑戦する勇気を持つことができる
特に、信頼関係や安心感から子どもたちは自分の力を発揮していきます。その点においても、子どもとの関係における心理的安全性は、なくてはならないものと言えるでしょう。
保育における職員間での心理的安全性が必要な理由
職員間での心理的安全性についてみていきましょう。心理的安全性は、もともとチームとして働くうえで重要なものとして提唱されたものです。「自分が安心して発言でき、発言したことに対して拒絶や罰が与えられるようなことがない安全な場所や状態」。
これを園の職員関係でとらえてみると、
・先輩後輩気兼ねなく発言できる 先輩「今日の園庭遊びでなにか気になったことある?」 後輩「砂場にもう一人いたら遊びがもっと盛り上がるかも。」 先輩後輩関係なく、園の課題を共有し、自己表現することが可能になります。 ・会議でアイディアを自由に提案できる A「ドッジボール大会では、音楽を流した方が盛り上がると思うのですがどうでしょう。」 B「いいアイディアだね。子ども達が好きな音楽をまとめていこう。」 職員が自由にアイディアを出したり、共有しあうことで、全体の創造性が活性化され、子ども達へのいいアプローチ方法も生まれてくるでしょう。 ・失敗を恐れずにオープンに議論できる A「いいね、みんなも納得しているようだし、この意見でいいかな?」 B「その意見の内容だと、○○のようなリスクも考えられると思うのですが、どうですか?」 失敗は成長の機会であり、失敗を恐れずに意見を伝えたり、失敗を共有し、そこから学ぶことができる文化が重要となってきます。 ・職員がお互いを尊重している A「みんな自分の仕事を頑張っているよね。」 B「それもAさんが仕事をサポートしてくれているからですよ。」 A「ありがとう。チームとして成果出せるように、お互い支え合っていこうね。」 職員がお互いの意見や感情を尊重し、互いの違いや弱点を理解し合うとチーム全体に一体感がでます。尊重の文化があれば、自己表現も行いやすくなっていきます。
職員が互いを尊重し、失敗を恐れず議論やアイディアを出していくことで、チームが一体感を持ったり、信頼関係を築きながらイメージや創造性が発揮されていくことでしょう。
心理的安全性が低い保育現場
では逆に、心理的安全性が低い保育の職場を見ていきましょう。
心理的安全性が低いと(子どもとの関係)
子ども達との関係では、
・子ども達との信頼関係を築けない 「私はあの子のこと好きじゃないから対応はしない。」 など感情的な対応や無視を行う場合、子ども達は自分の感情を表現することを恐れ、自己表現ができなくなってしまいます。 ・一方的な指示や圧力によるコミュニケーションの不足 子ども達への一方的な指示や圧力などは、子ども達の不安や不満をためることにつながり、コミュニケーション不足を招きます。このような場合、子ども達は自信を失い、意見を伝えることを恐れたり、あきらめたりすることがあります。 ・多様性を認めない 子ども達の個性を認めずに、それぞれの性格や特徴を無視した対応や行ったり、個性を無視した一斉保育を行っていると、子ども達は自分を受け入れられていると感じることができません。 ・失敗を許すことができない 失敗を許容できないと、子ども達が新しいチャレンジを避けるようになり、学びや成長の機会を失うことにつながります。
これらの要因が重なっていくことで、子ども達の発達に悪影響を与えていきます。
心理的安全性が低いと(職員間)
園の職員間で見てみると
・先輩と後輩の関係 「あの先輩には怖くて何も言えないから、逆らわないでおこう。」 ・会議での態度 「いつもあの人の意見しか聞いてないから今回も黙ってよっと。」 ・失敗への対応 「子どもへの対応がいつも間違っている。もっと真面目にやって!」 ・職員同士の関係 「いつもあの人サボってばっかりで信用できない。」 「あの人も、手を抜いていると思う。信じられないんだよね。」
このようなやりとりが多い園は、心理的安全性が低い職場と言わざるを得ないでしょう。しかし、残念なことに保育現場はこのような職場が多いように感じます。
心理的安全性の重要性を理解して職場の雰囲気づくりに努めていかなくてはいけませんね。
保育所保育指針においても、心理的安全性の重要度は明らか
保育所保育指針にも、『心理的安全性』という言葉こそ出てきませんが、「自分の気持ちや考えを安心してできる状態」がいかに大切かを述べています。
以下を見ていきましょう。
保育所保育指針での心理的安全性(子ども達との関係)
子ども達の関係においては、安心における心理的安全性が最重要と言っても過言ではありません。『保育所保育における基本原則・保育の方法』において、そのことは大きく述べられています。
身近な人との信頼関係の下で安心して過ごせる場において、子どもは自分の意思を表現し、意欲をもって自ら周囲の環境に関わっていく。このことを踏まえ、保育に当たっては、一人一人の子どもの主体性を尊重し、子どもの自己肯定感が育まれるよう対応していくことが重要である。
保育所保育指針解説
簡単にまとめると、「子どもは安心を感じることで、自分の意思を表したり意欲性を発揮したりするのだ」ということ。自分の力を発揮するためには、安心(心理的安全性が働いている)が重要ということですね。
保育所保育指針での心理的安全性(職員間)
保育の質向上における職員間の関係性についても、保育所保育指針で述べられています。
初任者から経験を積んだ職員まで、全職員が自身の保育を振り返り、自らの課題を見いだし、それぞれの経験を踏まえて互いの専門性を高め合う努力と探究を共に積み重ねることが求められる。このためには、同じ保育所内の職員間において、日常的に若手職員が育つよう指導や助言をして支え合っていく関係をつくるとともに、日頃から対話を通して子どもや保護者の様子を共有できる同僚性を培っておくことが求められる。
保育所保育指針解説
ここでは対話と通して、必要なことを共有できることを『同僚性』と表現しています。
対話とは「2人以上の人が意見、情報、考え、感情などを交換し合うコミュニケーション」「目的をもって、情報交換したり、意見を出し合ったりすること」を言います。
心理的安全性によって「自分の気持ちや考えを表現」できないと質の良い対話は成り立ちません。つまり、保育の質向上において、心理的安全性が必要となってくるのです。
おわりに
ということで、今回は『保育において『心理的安全性』が重要なこれだけの理由~オープンな雰囲気で話し合えるクラス作り・職場作り』ということで、述べさせてもらいました。
保育者にとっては、安心感が子ども達への保育において重要なのは、基本中の基本として身についていたと思います。しかし、子ども達への安心感を発揮するためにも、まずは職員間の心理的安全性を高めることは必須。職員の関係が悪いと、子ども達にも悪影響を及ぼしてしまいます。
結果を出せる職場を作っていくためにも、子ども達と職員間、両方において心理的安全性を高めていきましょう。
それでは、またやー!
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