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生活発表会(お遊戯会)取り組みのポイントを保育所保育指針から考えてみた~不適切保育を起こさないために~

保育
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 ハイサイ、レイジンです。

 発表会(おゆうぎ会)は、運動会に続いて園の大きな行事の一つ。保護者の方が見に来るとあって、気合を入れている園も多いのではないかと思います。

 しかし、『保育者必見!運動会練習のポイントと不適切保育のリスクから子どもたちを守るために』でも述べたのですが、大きな行事は不適切保育が行われやすいともされているんですね。

 保護者に「いいところを見せたい」「しっかりさせなくては」といった思いが強すぎるのも原因の一つ。

 同僚や上司の目が気になって「出来を良く見せなくては」と考えている方もいるかもしれません。

 レイジンも実際そうでした。ですが、発表会の本当のねらいは何なのでしょうか。

 ということで、今回は『発表会への取り組みのポイントについて、保育所保育指針を読み取って考えていく』ことを行っていきたいと思います。

 今回の記事で、発表会への取り組みが大人への見せ物としてではなく、子ども達の学びにつながる行事になってほしいなと思います。

発表会に関する記事はコチラから

それではいってみよー

なぜ発表会(おゆうぎ会)を行うのか

発表会(おゆうぎ会)のねらい

 では、早速ですが、園ではなぜ発表会を行うのでしょうか。

 運動会は『体を動かすことを楽しむ』ことが大きな目的でした。生活発表会(お遊戯会)はというと、『表現遊びの楽しさを味わう』です。

園で行われる主な表現遊びとは
・歌
・ダンス
・劇遊び
・オペレッタ
・楽器遊び
・手遊びうた  など

他にも、絵画や工作なども表現遊びになります。

 となると、生活発表会(お遊戯会)は

子ども→歌ったり役になり切ったり表現する楽しさを味わう。

保護者→子どもたちが表現遊びを楽しんでいる姿をみる。

ということが、ねらいや目的となってくるでしょう。

 時折、「子ども達が成長した姿を~」とも聞きますが、それを感じるかどうかは保護者自身にゆだねられているのであって、保育者側から「成長を感じてください」とするものではないですよね。

 子ども達にとっては『表現遊びを楽しむ機会』、遊びの一環なのです。

 そこで、「保護者に見せるから~」と見栄えを重視してしまうと、「表現遊びの楽しさを味わう」といった本来のねらいから遠ざかっていってしまいます。

保育所保育指針は行事をどうとらえているか

保育所保育指針解説でも、行事の持ち方について述べられています。

 特に行事などでは、結果やできばえを重視し過ぎたりすることのないよう、共に進める保育士等同士が、その行事を取り入れた意図などを共通に理解した上で、活動の過程での子どもの変容を読み取ることが大切である

保育所保育指針解説.pdf

保育士間でねらいを明確にし、理解したうえで行事に取り組みましょう

・行事での子どもの成長を読み取ろうということ。

「結果やできばえばかり気にしすぎるなよ」と指針でもはっきりと伝えられているのです。

生活発表会(お遊戯会)の取り組みのポイント(保育所保育指針から読み解く)

 では、表現遊びを楽しむ発表会とはどのようなものなのでしょうか。指針と照らし合わせてまとめてみました。「指針を読むのがめんどいよ」って方は、指針の引用文の後に簡単に内容をまとめているので、そちらをご覧ください。

乳児

 まずは乳児から。

乳児期においては、表情、発声、体の動きなどで、感情を表現することが多いことから、これらの表現しようとする意欲を積極的に受け止めて、子どもが様々な活動を楽しむことを通して表現が豊かになるようにすること。

保育所保育指針解説.pdf

かんたんにまとめると、

・乳児は、表情や声、体の動きで感情を表現するよ。
・それらの表現を積極的に受け止めていきしょう。

なので、発表会への取り組みポイントは、

・好きな音楽に合わせて、体を動かしている。
・大好きな保育者に支えられて笑顔を見せたり、喜んだりしている。

という点になるでしょう。

 保育者は、踊らせたりすることが目的ではなく、生活や遊びの中で、様々な表情を見せたり、安心できるようなかかわりをすることが大切になってきます。

1歳以上3歳未満児

 続いて、1歳以上~3歳未満児。

 この時期の子どもは、言葉で様々な思いを表現できるようになったり、体を思うように動かせるようになる中で、楽しい気持ちに合わせて踊ったりリズムに乗ったりすることができます。

 音楽やリズムについて、保育所保育指針解説を見ていきましょう。

音楽やリズムに合わせて体を動かすという経験を通して、子どもは、楽しい気持ちをこうした方法で表現することの喜びを味わう。また、保育士等や友達など身近な他者と一緒に楽しむ中で、同じリズムで体を動かしているうちに自ずと心が共鳴し、一体感を味わうことの喜びも感じるようになる。

~略~

子どもが、自分の思いや体の動きと音楽やリズムのつながりを、心から楽しむ経験を重ねることが重要である。

保育所保育指針解説.pdf

また、歌に関しても記されています。

 子どもは、保育士等の歌うわらべうたなどの耳になじみやすい音の響きやゆったりとした調べに安らぎを感じる。また簡単な手遊びなどを通して、保育士等とのやり取りを楽しむ。こうした経験を日常的に繰り返しながら、歌や手遊び等に慣れ親しみ、興味をもつようになる中で、子どもも保育士等の歌や動きに合わせて体を動かしたり、一緒に歌おうとしたりする。

~略~

この時期、歌うことに親しみ、また歌に合わせてよく体や手指を動かすことで、楽しみながらそれらを自分のものとして身に付けていく。同時に、保育所や保育室が子どもにとって更に安心して自分を表現できる場所となる。

保育所保育指針解説.pdf

これらをまとめると、

・子ども達は、音楽に合わせて体を動かすことで、楽しい気持ちを表現できるぞ。
・保育者や友達と一緒に同じリズムで体を動かすことで、一体感を味わうぞ。

・歌やわらべ歌、手遊びうたなどを繰り返し慣れ親しむことができるぞ。
・保育者や友達と一緒に歌に合わせて体を動かしたり、歌を歌おうとしたりするぞ。

となります。生活発表会(お遊戯会)の取り組みのポイントは

・音楽やリズムに合わせて体を動かすことを楽しめるようにしよう
・安心できる環境の中で、歌に親しみを持ち、歌や手遊びうたを楽しめるようにしよう。

 2歳児になってくると、ごっこ遊びの中で思いを言葉で表現することも楽しんでいきます。簡単なオペレッタもそういった要素が含まれてくるでしょう。

 踊ることがや歌うことが苦手な子もいますが、間違っても無理強いしてさせるといったことがないようにしていかないといけません。楽しい雰囲気の中で表現遊びを楽しめるようにしていきましょう。

2歳児おススメの演目はこちら

3歳以上児

 3歳以上児は、音楽を聴いて体を動かして表現するだけでなく、見たり、聞いたりしたこと、感じたことを言葉で自分の思いを表現したり、絵本の世界に親しみ、想像する楽しさも味わうことができます。

ここからは、項目に分けていきます。

歌、ダンス、楽器遊び(合奏)

歌、ダンス、楽器遊び(合奏)など音楽に関することも保育指針にのっています。

 子どもは、一般に音楽に関わる活動が好きで、心地よい音の出るものや楽器に出会うと、いろいろな音を出してその音色を味わったり、リズムをつくったり、即興的に歌ったり、音楽に合わせて身体を動かしたり、時には友達と一緒に踊ったりしている。
 このように、子どもが思いのままに歌ったり、簡単なリズム楽器を使って遊んだりしてその心地よさを十分に味わうことが、自分の気持ちを込めて表現する楽しさとなり、生活の中で音楽に親しむ態度を育てる。

保育所保育指針解説.pdf

まとめると

・子どもは、音楽が好きで、楽器の音色を味わったり、音楽に合わせて身体を動かしたり、歌ったりすることを楽しむよ。
・子どもが思いのままに歌ったり、楽器遊びを楽しむことは自分を表現する楽しさにつながり、音楽に親しむようになるよ。

ということになります。となると、歌やダンス、楽器遊び(合奏)の取り組みのポイントは

・子どもが音楽に親しんでいる姿を認める。
・必要に応じて、様々な歌が聴ける場や、簡単な楽器が自由に使える場を用意し、音楽に親しむことができるようにする。
・保育者や友達と一緒に歌を歌ったり、楽器を演奏したりする楽しみを味わえるようにする。

といった感じ。あと、保育指針解説に以下のようなことが書かれていました。

ここで大切なことは、正しい発声や音程で歌うことや楽器を正しく上手に演奏することではなく、子ども自らが音や音楽で十分遊び、表現する楽しさを味わうことである。

保育所保育指針解説.pdf

上手に演奏することを求めすぎるなよー「あくまでねらいは、音楽で表現する楽しさを味わう」ということ。

劇遊び、オペレッタ

保育所保育指針解説の『言葉』の領域から見ていきましょう。

子どもは、絵本や物語などで見たり、聞いたりした内容を自分の経験と結び付けながら、想像したり、表現したりすることを楽しむ。

~略~

 絵本や物語、紙芝居などを読み聞かせることは、現実には自分の生活している世界しか知らない子どもにとって、様々なことを想像する楽しみと出会うことになる。登場人物になりきることなどにより、自分の未知の世界に出会うことができ、想像上の世界に思いを巡らすこともできる。このような過程で、なぜ、どうしてという不思議さを感じたり、わくわく、どきどきして驚いたり、感動したりする。また、悲しみや悔しさなど様々な気持ちに触れ、他人の痛みや思いを知る機会にもなる。このように、幼児期においては、絵本や物語の世界に浸る体験が大切なのである。

保育所保育指針解説.pdf

 こちらの文を簡単にまとめると、

・子どもは絵本や物語の内容を経験と結び付けたり、イメージや表現することを楽しむことができるぞ。
・子どもは絵本や物語で未知の世界に出会うことができ、わくわくどきどきなど気持ちの動きを感じることができる。
・絵本や物語など登場人物の様々な感情に触れることもできる。

となります。続いて『表現』領域から。

保育所の中で一緒に生活を重ね、共通の経験や感動を伝え合う中で、子どもは次第にイメージを共有し合い、そして、相手と一緒になって見立てをし、役割を相互に決めて、それらしく動くことを楽しむようになる。時にはそれが断片的な遊びから、目的やストーリーをもった遊び方へと変化することがある。さらに、それぞれのイメージを相手に分かるように表現し、共有して、共通のストーリーやルールをつくり出し、「○○ごっこをしよう」などと遊ぶことができるようになってくる。

保育所保育指針解説.pdf
・子どもは、友達と一緒に遊びや生活をする中で、次第にイメージを共有しあうことができる。
・友達と一緒に役割を決めたり、役になり切って動くことを楽しむようになる。
・共通のストーリーを作りだし、ごっこ遊びを楽しむことができる。

上の2つをまとめた劇遊びやオペレッタの取り組みのポイントは、

・絵本や物語の世界に親しむ機会を持つ。
・子どもが安心して自分のイメージを表現できるようにする。
・子どもがイメージの世界を楽しめるように、表現に必要な道具や素材を用意する。
・子どもと一緒に劇遊び(オペレッタ)の環境を作っていく

ということになります。

3歳以上児おススメの演目はこちら

不適切保育を行わないために

 保育指針解説を見ていくだけでも、『子ども達が表現を楽しむこと』に重きを置いており、決して見映えや出来栄えを重視しすぎるなよということが言われています。

ですが、生活発表会(お遊戯会)に向けての取り組みでは、

・気持ちが乗らずに泣いている子を無視する

・大人のイメージ通りに演技できない子に対し、過度にプレッシャーを与える

・音程を合わせるように過剰に指導する。

・子どものイメージや主張を認めずに、演技や演目の完成度だけを重要視する。

といった不適切な保育を行っている園も少なくはありません。

 不適切保育は、子どもだけではなく、保育者までをも苦しめてしまうものになります。

 発表会練習で不適切保育を起こさないためにも、今一度保育所保育指針から行事の進め方を捉えなおしてみてはいかがでしょうか。

おわりに

ということで、今回は『発表会への取り組みのポイントについて、保育所保育指針を読み取って考えていく』ということで述べていきました。

まとめ!

〇生活発表会(お遊戯会)のねらいは、「表現遊びの楽しさを味わう」こと。

〇保育指針でも歌やリズム、楽器遊びなどの音楽を楽しむことが大事だとされている。

〇行事に対しては、「結果やできばえばかり気にしすぎるなよ」とも指針で述べられている。

〇見映えや出来栄えを重視しすぎると、不適切保育に陥るリスクが出てくるし、それは子ども達や保育者自身も苦しむことになる。

といった感じかなー。

 生活発表会(お遊戯会)は、何のために行うのか。職員間で話し合うことが大切になってきます。「これまでのやり方で~」では、何も変わりませんよー

 子どもたちがのびのび表現遊びを楽しめるような生活発表会(お遊戯会)が広がってほしいものです。

それでは、またやー

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