ハイサイ、レイジンです。
先日abema primeこと『アベプラ』でこんなトピックで議論が行われていました。
3歳児神話はあるのか、ないのか的な議論ですね。
レイジンも保育者をしていて、たまに耳にする『3歳児神話』。
結論から言うと、レイジンは『3歳児神話』はないと考えています。今回はその根拠を紹介していきたいと思います。
『3歳児神話』が不安で、保育園に預けるのをためらうという人は、ぜひ参考にしていただければと。
それでは、いってみよー!
3歳児神話とは
ところで、『3歳児神話』とは一体何ぞやということなんですが、簡単に説明すると
①3歳までは、子どもの脳や心身の成長にとって重要な時期である。 ②3歳までは、母親が育児に専念した方が子どもの発達に良い。逆を言えば、育児に専念しないと子どもに悪影響がある。 ③成長には母親の愛着が欠かせない。
といった感じですかね。
男女が働くことを推進している令和においては、「まじかよ」と言いたくなるような話です。共働き世代にとっては、保育園に預けるのが必須ですからね。
ただ、「小さいうちはお母さんが子どもを見たほうがいいよ」という声を聴いたことがあるのも事実。
ですが、この『3歳児神話』。レイジンは大きく否定していきたいと思っています。
3歳児神話を否定する理由
では、レイジンがなぜ『3歳児神話』を否定していくかというと、「0歳児から保育園にいる子が、発達に問題を抱えているわけではない」という経験則からだけではありません。
『 初塚眞喜子「アタッチメント理論から考える保育所保育のあり方」相愛大学人間発達学研究2010.3.1-16 』
という論文を読み解いても、『3歳児神話』は否定せざるを得ません。
大切なのは愛着(アタッチメント)
ここで重要なキーワードがあります。それが『愛着(アタッチメント)』です。
3歳児神話も「成長には親の愛着が欠かせない」ということが言われています。これは、半分正解で半分間違い。
愛着関係を築けないと
・友達や家族との関係を上手く築けない ・感情のコントロールが難しくなる ・心理的な問題のリスクがある ・学習が難しくなるかもしれない
といったことがわかっており、
「子どもの健全な発達には愛着が欠かせないよー」ということは間違いないのですが、母親でなくても愛着関係を築くことができるのがわかっているです。
例えば、
・父親 ・祖父母 ・保育者
といったところが、メジャーでしょうか。
つまり、保育園に預けていても愛着関係を築くことができるのです。
愛着(アタッチメント)の条件としては、
①身体や精神のケアをしている。(ミルクをあげたり、泣いたときにあやしたり) ②子どもの生活に持続的にかかわっている。 ③子どもに対してうれしい時も悲しい時も敏感に反応してくれること。
が挙げられます。
愛着関係(アタッチメント)における保育園の役割は大きい
ということは、上記の愛着の条件を満たせば保育者も愛着関係を築ける。つまり、「0歳児から保育園に預けても子どもの育ちは保証される」ということです。
ただ一つ問題がありまして、、、
それは安定した愛着関係(アタッチメント)を築くには、保育の質が重要という点。
質の高い保育→育児に専念している母親よりも子どもとの愛着関係(アタッチメント)もより安定的 質の悪い保育→愛着関係(アタッチメント)は不安定。
ここでいう質の良いとは、赤ちゃんの泣き声やサインにすぐに反応するか、子どもの感情に敏感に反応するかも大切だけど、
一番大きいのは『一人の保育者が担当する子どもの人数』だというのです。担当する子の人数が増えるほど、子どものサインや感情に敏感に反応するというのが難しくなってきますからね
保育士の配置基準が保育の質で重要と聞いた瞬間、「日本は大丈夫かな?」と思ってしまいました。
0歳児は保育士一人に対して子どもが3人の1:3と世界的にもよい部類に入るのですが、
1歳児になると1:6と激増。保育士の負担増で余裕がなくなってしまうのです。
そして、長年続いている保育士不足も保育の質に影響。
『アベプラ』でも、「保育士が少なすぎて、質の担保が取れない」「保育を3~4時間のパートでつないでもいいことになっている」と言っていました。
パートの中にも、資格を取得しており質の良い保育をする方もいるのですが、経験が少ない方が多いのも確かです。
保育園で、子どもが安定した愛着関係(アタッチメント)を築くためには、保育士不足を解消し、保育の質を高めていくことが重要となるでしょう。
保育の質を高めるためには
では、保育の質(特に乳児)を高めるために、保育園でできることはいったい何があるのでしょうか。
ありがたいことに、『 初塚眞喜子「アタッチメント理論から考える保育所保育のあり方」相愛大学人間発達学研究2010.3.1-16 』では、施設側と保育者側からの両方の点から具体的に述べてくれています。
保育の質(特に乳児)を高めるためにできること(施設側) ・1人の担当者が継続してかかわる担当制 →子どもの愛着関係の対象となるのは、数名、少数の人物に限られていると考えられているから。 ・1人の保育士が担当できる人数を減らす →担当する子の人数が増えるほど、子どものサインや感情に敏感に反応するというのが難しくなってくるため。 ・保育者のメンタルヘルス →保育者のメンタルが子どものサインや感情に反応する度合いに反映されるため。
乳児の担当制に関しては、現在では多くの園で取り入れられている手法なのではないでしょうか。ただ、この3点で言えることは、保育士不足の場合、どれも不十分になる可能性が高まり、保育の質が低下する要因になり得るということです。
では、保育者の役割についても見ていきます。
子どもの健全な発達を促すための保育者の役割 ○「安全基地」としての役割 →子どもが不安な状態でいるときに、慰めたり、抱っこしたりして「安全だ」「安心する」といった状態に回復させる。この積み重ねが子の健全な発達につながる ○「安全基地」としての役割を果たすために ・子どもの心身の状態に敏感に反応したり、子どものサインに気づく →ただし、求めていないのに過剰に介入してしまうのはNG。 ・子どもが不安な状態の時に、抱っこしたりして助けてあげる ・子どもの嬉しい、悲しいなどといった感情のやりとりを楽しむ ○カウンセラーとしての役割 ・子どもと家族が安定した愛着関係(アタッチメント)を築くためのアドバイスや、子育ての悩みについての相談を受けたりする
保育者には、子どもと愛着関係を築くほかにも、保護者と子どもをつなぐ役割が求められているということですね。
結局、家庭保育と保育園に預けるのはどちらがいいのか?
「『3歳児神話』は根拠ないですよー」ということで、ここまで述べさせてもらいました。
ですが、だからといって保育園に預けるのが「絶対おすすめ」というわけではありません。先ほどももうした通り、保育の質を見学などで見極めることは難しいですし、
何より大切なのは親自身がどう思っているか。
親自身が
「自分で子育てをしたい。」 「子どもの成長を間近で見たいし、感じたいんだ」
となれば、家庭保育がいいでしょう。育休制度も充実してきています。利用して、子どもの成長をサポートしましょう。
ですが、
「家庭の経済状況を考えると、保育園に預けたほうがいい」 「仕事に貢献したいという気持ちが強い」
という方にとっては、保育園に預けることをお勧めします。「3歳児神話があるから」と言って、変にためらうことはやめましょう。
「家庭がいいのかor保育園がいいのか」の二者択一になってはいけません。自分に、家族に合った方法を選択するのがベストと言えるでしょう。
おわりに
ということで、今回は『3歳児神話は本当にあるのか?』について述べさせてもらいました。
日本には、いまだ「子どもは、母親が家でで育てたほうが良い」という考えが根強く残っています。もちろん、母親と限らず、身近な存在の親が日中も子どもを養育することに異論はないですし、家族で選択したのなら全然ありだと思います。
ただし、0歳児から保育園に預けることが『悪』というわけではありません。保育者との関係が子どもにとって、家族にとってポジティブなものになることもあるのです。
その分、保育者の役割は重要なものとなります。
長年、保育士不足が叫ばれています。国が子育てについて本気で取り組んでくれるのは、いったいいつになるのでしょうか。
私たち国民が、国を作る人たちを真剣に選んでいかないといけませんね。
それでは、またやー!
参考文献
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