ハイサイ、レイジンです。
少子化が進む日本では、「こども誰でも通園制度」っていう注目の仕組みが話題です。これ、ざっくり言うと、「家庭の収入とか関係なく、みんなが保育園や幼稚園に通えるようにしましょう」っていう制度。
「これめっちゃいいじゃん!」って思う人も多いと思います。でも、実は現場の保育士さんたちは、ちょっと待った!って感じなんですよ。ただでさえ保育士不足なのに、仕事の負担がさらに増えるんじゃないかって心配の声がめちゃくちゃ出てるんです。
今回は、この制度のメリットや課題、そして保育士さんたちが直面しているリアルな問題を、わかりやすくまとめてみました。皆さんの参考になればなと思います。
それではいってみよー!
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「こども誰でも通園制度」ってどんな制度?
まずは制度の概要をサクッとおさらい。
「こども誰でも通園制度」は、どんな家庭の子どもでも、親の働き方や収入に関係なく、保育所や幼稚園に通える仕組みを目指すものです。
たとえば、
・専業主婦(主夫)の家庭
・親が短時間だけパートで働いている家庭
といった家庭でも、これまでより気軽に園に子どもを預けることができるようになるのが特徴です。
子どもたちが安定した環境で成長できるだけでなく、「家庭の事情で保育園に入れない」という不安を軽減することが大きな目的なんですね。
子育て世帯にとってのメリット
この制度、親にとってはとても助かる仕組みになっております。
- 子どもの社会性が育つ!
家庭だけでなく、保育園や幼稚園のような集団の中で生活することで、子どもは自然とコミュニケーション力や協調性を身につけることができます。 - 親の負担が減る!
フルタイムで働いていなくても通園が可能になることで、「ちょっと自分の時間がほしい」「家事やリフレッシュに集中したい」という親のニーズに応えることができます。 - 育児の孤立を防ぐ!
保育園や幼稚園を通じて他の親とつながることができたり、保育士さんに相談できたりするのも大きなメリットですよね。
保育士不足が深刻すぎて、保育士の負担増になる恐れ
ここで少し視点を変えてみましょう。制度の導入で保育士さんたちはどんな状況になるのか?
正直なところ、保育の現場はすでに**「保育士不足」**という深刻な課題を抱えています。
保育士の有効求人倍率の推移によると、全国の保育士有効求人倍率は 3.5倍。これ、保育士1人に対して3つ以上の求人がある状態。中には 5倍以上 の都道府県もあります。つまり、保育士を雇いたいけど、人がいないよーっていう状況です。
「こども誰でも通園制度」によって利用する家庭が増えれば、当然ながら保育士さんたちの負担が増える可能性が高いです。
・「子どもの数が増えるのに人手が足りない」
現在でも、1人の保育士が担当する子どもの数が多すぎるという声がよく聞かれます。この制度が広がることで、その状況がさらに厳しくなることが懸念されています。
・「子ども一人ひとりに向き合う時間が減るかも」
保育の質を保つには、保育士さんが余裕を持って子どもたちと接する時間が必要です。でも子どもが増えすぎると、十分に目が行き届かなくなるかもしれません。
保育の質は、保育者の数も大きなポイントの一つです。人的余裕がでてくることで、子どもや保護者への丁寧な対応が可能になってくるのです。
こども誰でも通園制度の種類ごとに保育士の負担を見てみよう。
「こども誰でも通園制度」には、3つのタイプの運営スタイルがあります。それぞれの特徴をみていきましょう。
1. 専用スペース型
専用の保育室を作って、そこで子どもを預かる方法。
仕組み
保育園や幼稚園の中に、在園児とは別の「こども誰でも通園」の専用スペース(保育室)を作り、そこに子どもを受け入れるスタイルです。
メリット
・在園児と分けられるため、保育環境が落ち着きやすい
・在園児への影響が少なく、保育の質が維持しやすい
デメリット
・保育士の追加配置が必要
→ 新しい保育室ができると、そこを担当する保育士が必要になります。保育士不足が問題になっている中で、配置を増やすのは現実的に難しいかもしれません。
・環境整備の負担
→ 新しい部屋を作ったり、そこに必要な道具や備品を整えたりする手間が発生します。新しい保育環境を整えるのは、現場の保育士がサポートすることも多いです。
・慣れない子どもの対応
→ 期間限定で来る子どもは、園のルールや雰囲気に慣れていないため、不安から泣いてしまうことが多いです。1対1でつきっきりの対応を求められる場面が増えるでしょう。
2. 空き定員活用型
既存の保育施設の「空いている定員枠」を使う方法。
仕組み
定員に余裕のある保育施設に、新たに子どもを受け入れる方法です。部屋を新設する必要がなく、効率的に既存のスペースを活用できます。
メリット
・既存の設備をそのまま使えるため、改築費用がかからない。
・保育士の増員が不要な場合もある(施設による)
デメリット
・保育士の配置が不安定
→ 定員に空きがあれば受け入れられるので、受け入れ人数が日によって変動します。保育士は「今日は何人来るんだろう?」と状況を確認しながら働く必要があります。
・急な対応が必要
→ 保護者の「急に預かってほしい」というニーズに応じることが多くなるため、保育士はスケジュールを柔軟に変える必要があります。その都度の対応が求められ、精神的な負担が増えます。
・関わる子どもが変わる
→ 毎回違う子どもが来ることがあるため、子どもの名前や性格、体調を1から把握する必要があります。保育士にとっては、慣れない子どもへの対応が日常化します。
3. 在園児と合同型
在園児のいるクラスに、こども誰でも通園の子どもを一緒に入れる方法。
仕組み
既存のクラスに新しい子どもを追加で受け入れます。専用の部屋を作る必要がないため、コストを抑えられる運営方法です。
メリット
・在園児のクラスにそのまま追加するので、部屋を増やす必要がない
・子ども同士の交流が生まれやすい
デメリット
・クラスの子どもの人数が増える
→ 1クラスの人数が増えると、1人の保育士が見る子どもの数も増加します。特に、泣いている子どもが複数いたり、ケンカが起きたりすると、保育士の対応が追いつかなくなる可能性があります。
・クラスの雰囲気が変わる
→ 既存のクラスの子どもたちは、新しく来た子どもがいると落ち着きがなくなったり、トラブルが起こったりする場合があります。保育士は、子ども同士の関係調整をする必要が出てきます。
・子どもがコロコロ変わるストレス
→ 毎週異なる子どもが来ると、保育士はそのたびに自己紹介やルール説明をする必要があります。子どもの状態(アレルギー、特性など)を毎回確認しなければならないのも負担です。
まとめ
タイプ | 保育士の負担 | 施設の負担 | 子どもの環境 |
---|---|---|---|
専用スペース型 | 保育士の追加が必要 新しい部屋の環境整備が必要 | 部屋の新設が必要 | 在園児と分けて保育する |
空き定員活用型 | 受け入れ人数が日々変動 子どもの情報把握が必要 | 新設なしで実施可能 | 施設の空き状況に左右される |
在園児と合同型 | クラスの人数が増える 子どもの管理が難しい | 施設の新設は不要 | クラスに新しい子が加わる |
ただでさえ、保育士不足の中に毎回新しく子どもが来ることに対応していくことが難しいことは容易に想像できます。毎日転校生が出たり入ったりするという感じですね。
こども誰でも通園制度を上手く回すには保育士不足の解消が先では。
「こども誰でも通園制度」は、子育て世帯にとっては心強い支援策ですが、現場の保育士にとっては新たな負担がのしかかる制度でもあります。保護者の「助かる!」という声の裏で、保育士は「これ以上の負担は無理かも…」と不安を抱いているのが現状です。
特に深刻な問題は、【保育士不足】。保育士の数が足りない状態では、どのタイプの運営方法を選んでも、現場にしわ寄せがいく可能性が高いです。
なぜ保育士不足が起きているのか?
賃金の低さ
保育士の給料は他の業種と比べても低い水準にあります。特に、体力的・精神的な負担が大きいにもかかわらず、給料が見合っていないという声が多いです。
業務の多さ
保育のほかに、保護者対応や書類作成などの事務作業が多く、定時で帰れないケースも多いです。さらに、こども誰でも通園制度では「新しく来た子どもの情報共有」「アレルギーの確認」「緊急連絡先の把握」などの手続きが増えるため、業務の負担がさらに大きくなります。
離職率が高い
こうした厳しい労働環境から、保育士の離職率は高いままです。新たに保育士資格を取る人はいるものの、現場での負担に耐えきれず辞めてしまうケースが後を絶ちません。
保育士が足りないとどうなる?
子ども一人あたりの保育士の負担が増える
たとえば、在園児が20人いるクラスに、さらにこども誰でも通園の子どもが3人加われば、保育士は1人あたり23人を同時に見ることになります。子どもが増えても、保育士の数が増えない限り、業務量は増える一方です。
保育の質が低下する
保育士が一人ひとりの子どもに目を向ける余裕がなくなると、泣いている子どもにすぐ対応できなかったり、トラブルが発生したときにすぐ仲裁できなかったりします。これにより、子どもの安全が確保されにくくなるリスクが高まります。
保育士の精神的負担が増す
人手不足の中、さらに不安定な子どもが増えると、保育士のストレスは高まります。「子どもを守らないと」というプレッシャーがのしかかり、メンタル不調での離職につながるケースも考えられます。
保育士不足解消のために必要なこと
保育士の賃金を上げる
まず、給料が低いままでは、保育士の人材が増えません。これまで政府は処遇改善手当を支給してきましたが、まだ十分ではないと言われています(支給方法にも問題あると思うけど、その点についてはまた後程)。保育士の処遇を根本的に改善するためには、賃金の大幅な引き上げが不可欠です。
保育士の業務負担を軽減する
事務作業が減れば、保育士は子どもと向き合う時間が増えます。事務作業や書類作成をアシスタントスタッフに任せるといった「業務の分業化」を進めていく必要があるでしょう。
保育士のメンタルケアの充実
保育士のメンタル不調を予防する必要もあります。相談窓口の設置や休暇の取得促進が求められます。
おわりに
こども誰でも通園制度は子育て世帯にとってはメリットの大きい制度ですが、この制度を上手く回すには、保育士不足の解消が欠かせないというのが現場の声です。子どもを受け入れる「仕組み」を作るのは簡単ですが、それを回すための**「人の支援」**がなければ、保育士は限界を迎えてしまいます。
この制度が本当に役立つものになるためには、保育士の増員と待遇の改善がセットで行われる必要があります。国や自治体がどのように保育士の支援をしていくのか、今後の動きが注目されます。
現場が動ける体制を作らなければ、子どもも保育士も誰も幸せになれないかもしれません。
それでは、またやー!
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