ハイサイ、レイジンです。
保育者をしていると、保護者に「小学校入学までに心配なことがあって」と相談されるものがあります。
そう、それは文字です。ひらがなやカタカナなどですね。
文字を書けるかどうかは、保護者にとっては気になるもの。「年長児になっているのに、うちの子ひらがなもかけないんですよ。」という親御さんは多いものです。
そのように相談されると、保育者側も「覚えさせた方が良いのだろうか」と考えてしまいますね。
果たして、小学校入学までにひらがななどの文字は覚えないといけないものなのでしょうか。
今回は、『入学までに文字を覚える必要があるのか』ということを述べていきたいと思います。
それでは、いってみよー!
保育所保育指針は『文字』をどうとらえているのか
では小学校入学までに、ほとんどの子が利用する保育園や幼稚園といった就学前施設は、文字についてどのように捉えているのでしょう。
保育所保育指針によると
保育所保育指針解説では、文字についてかなり思いを込めて書かれているので、そちらを紹介したいと思います。
子どもは遊びや生活の中で、身近にある数字や文字に興味や関心をもったり、物を数えることを楽しんだりする場面が見られるなど、保育士等や友達と一緒に数量や図形、標識や文字などに触れ、親しむ体験を重ねていく。~(略)~
また、遊びや生活の中で関係の深い標識や文字などに関心をもちながらその役割に気付いたり使ってみたりすることで、興味や関心を深め、感覚が磨かれていく。
保育所保育指針解説
「遊びや生活の中で文字に興味を持ち、文字に触れ、親しみ、使っていく中で感覚が磨かれていきますよ」ということですね。
保育者は文字に関してどのような援助をしているのかというと、
保育士等は、子どもが関心をもったことに存分に取り組めるような生活を展開する中で、一人一人の数量や図形、標識や文字などとの出会いや関心のもちようを把握し、それぞれの場面での子どもの姿を捉え、その活動の広がりや深まりに応じて数量や文字などに親しめるよう、工夫しながら環境を整えることが大切である。
保育所保育指針解説
保育士等は、文字について直接指導するのではなく、子どもの、話したい、表現したい、伝えたいという気持ちを受け止めつつ、子どもが日常生活の中で触れてきた文字を使うことで、文字を通して何らかの意味が伝わっていく面白さや楽しさが感じられるように、日頃の保育の中で伝える喜びや楽しさを味わえるようにすることが大切である。
保育所保育指針解説
まとめると、
「保育士は一人ひとりの文字への興味を把握する」
「保育士は、子どもに文字を通して意味が伝わる楽しさを感じられるようにする」
ことが大切だということです。しかし、大事な注意点があります。
注意点!!保育では文字を正確に読んだり書くことを目指すのではない・・・
保育における文字の注意点を保育所保育指針解説では繰り返し述べています。見ていきましょう。
幼児期には、数量や文字などについて、単に正確な知識を獲得することを目的にするのではないことに十分留意する必要がある
保育所保育指針解説
子どもが文字を道具として使いこなすことを目的にするのではなく、人が人に何かを伝える、あるいは人と人とがつながり合うために文字が存在していることを自然に感じ取れるように環境を工夫し、援助していくことが重要である
保育所保育指針解説
幼児期における数量や文字に関する指導は、確実に数を数えられたり、文字を正確に読めたり、書けたりすることを目指すものではない。~(略)~
幼児期に大切にしたいことは、習熟の指導に努めるのではなく、子どもが興味や関心を十分に広げ、数量や文字に関わる感覚を豊かにできるようにすることである。このような感覚が、小学校における数量や文字の学習にとって生きた基盤となるものである。
保育所保育指針解説
簡単にまとめますと、
「幼児期は、文字を読んだり書いたりできるようになることを目的とするのではなく、文字に興味を持ったり、文字の必要性を感じたりすることが大切である。これらが、今後の学習の基盤になる。」
といった感じ。文字を読めるのか、書けるのかが大事なのではありません。根幹の部分、「文字って必要だよな」「文字って面白い」「文字があると便利だな」といったところを自然と感じてほしいということですね。
5歳までに文字は読めないといけないのか、書けないといけないのか
では、「5歳までに文字は覚えたほうが良いのか」と聞かれた場合、保育者的に答えると、
「NO」
「無理やり覚えさせるものではない」
が答えになります。先ほどの保育所保育指針解説から見ても、幼児期において必要なのは、
文字への興味関心です。
「読める」「書ける」ではなく、根っこの部分を育てることが重要になってきます。
そして、文字への興味関心には個人差があります。
4歳ごろから興味を持つ子もいれば、6歳過ぎてから興味を持つ子もいるなど千差万別なのです。
保育所保育指針においても興味関心が大切だということは述べられています。
数量や文字に関する指導は、子どもの興味や関心から出発することが基本となる。その上で、子どもの遊びや生活の中で文字を使ったり、数量を扱ったりする活動が生まれることがあり、このような活動を積み重ねることにより、ごく自然に数量や文字に関わる力は伸びていくものである。
保育所保育指針解説
と記されているのです。
「子どもの興味関心から出発することが基本。」
「遊びや生活の中で文字を使用することで、自然に文字の力は伸びていく」
ということがいわれているんですね。
文字に興味を持たせる方法とは
では、生活や遊びの中で、どのように文字を組み込んでいけばよいのでしょうか。
それぞれ例を出していきます
生活の中で
・自分のクラスの絵と名前を合わせる ・友達の名前を文字で表記する ・表示のイラストに文字を加える…積み木を片づける場所に積み木の写真貼り、下に「つみき」と表示する。 ・散歩中やドライブ中に見える看板の名前を読んでみる ・レストランのメニューを一緒に読んでみる ・スーパーの商品を探す
教えようという気持ちが強すぎると、子どもは嫌気がさしてしまいます。あくまでも自然体に。スーパーでの買い物の際も、「『とうふ』あるかな?『きぬごし』って書いてあるやつ」など、子どもが興味を持てるように言葉かけを工夫してみましょう。
遊びの中で
・ごっこ遊び…郵便ごっこ、レストランごっこ ・絵本…読み聞かせや自分で絵本を楽しむ ・かるた ・お手紙 ・歌 ・子どもの興味に合ったもの…子どもの興味のあるものだと、子どもも「もっと知りたい」という思いが増えるため
遊びの中でも、文字への興味や関心は大きく膨らみます。レイジンの娘は、お手紙ごっこから文字に興味を持ち、ひらがなやカタカナを1ヵ月ほどで書けるようになっていました。遊びは子どもにとって最大の学びなんですね。
おわりに
今回は、『入学までに文字を覚える必要があるのか』ということで、述べさせてもらいました。
結論、「幼児期においては、文字への興味関心が重要だよ。」ということになります。無理強いして文字を教え込んでも、子どもの「文字を使うことって楽しいな」という根幹の部分は育まれないということですね。それは、学ぶことへの意欲にもつながっていきます。
小学校入学までの間は、「文字って楽しいな」「文字って生きていくうえで必要で便利なものなんだ」と感じられることが重要になってきます。
親御さんや保育者は、子どもが文字に興味を持てるような工夫をしていけるといいですね。
それでは、またやー
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