ハイサイ、レイジンです。
最近ニュースで「保育園を落選狙いで申し込んでいる人が増えている」という話題を耳にしました。その対策で、「落選狙い」人気保育所だけ申し込み、育休給付延長目的の申請続出…厚労省が審査厳格化へ(読売新聞オンライン) – Yahoo!ニュースというニュースが出ております。
「保育園落ちた日本○ね」というフレーズもあった数年前。保育園に入りたくて仕方がない人も多い中、保育園落選狙いを行う理由や、問題点、厚労省の審査がどのように厳格化されるのかをまとめてみましたので、紹介したいと思います。
それでは、いってみよー!
保育園落選を狙う理由は?
早速、保育園落選を狙う理由を考えてみたいと思います。
子どもと過ごす時間を優先したい
第1に考えられる理由は、何より子どもと過ごす時間を優先したいという思いからでしょう。「半年や1年での復帰は早すぎる」「まだ子どものそばで成長を見守りたい」という人にとっては、保育園落選を狙うことで、親子のきずなを深めたり、成長に関わる時間を確保したいと考えているのです。
保育園に落ちた場合は、育休給付が2歳まで延長できる
育児給付は通常1歳になるまで支給されますが、保育園に落選したとなると2歳まで延長可能になります。「できれば経済的支援を受けながら子どもと過ごす時間を持ちたい」と考えるのは当然のことでしょう。
したがって、人気のある保育園に希望を出し、落選することで給付を継続希望するという事例が出てくるのです。
時短勤務できない・職場が育児に対して理解が低い
子どもと過ごす時間や家庭環境のバランスを考え、時短勤務を望む人もいるでしょう。しかし、「役職や職種的にフルタイム労働を求められる」「職場が時短勤務を許可していない」といった場合は、仕事と子育ての両立が困難と感じる人もいるでしょう。
また、育休に対しての風当たりが強いなど、ママやパパの職場が育児に対しての理解が低いと、子育てと仕事のバランスをとることが厳しくなることも予想されます。
年度途中の入園は、難しいことが多い
「8月から育休復帰」など年度途中での育休復帰は難しいことが多いのが現実です。なぜかというと、希望する保育園の空きがないことが多いから。特に、0歳児クラス、1歳児クラスは年度初めで満員になることがほとんど。希望する保育園に入ることは難しいといえるでしょう。
となると、育休を延長して4月入園を狙うということも大いに考えられます。
質の低い保育園は避けたい
近年、不適切保育が話題となり、保育の質向上が叫ばれています。保育は、子どもが安心・安全を感じられる環境を提供していく必要があります。子どもへの暴言や体罰など不適切な保育をする恐れのある園は避けたいというのが保護者の本音でしょう。
そうなると、質の高い保育園を選ぶのが自然となってきます。希望する園に入園できるチャンスを高めるため、一時的に落選を狙って次の申し込み期間に再度チャレンジすることを考える家庭もいるかもしれません。
保育園落選狙いの問題点は?
入りたくても入れない人がいる
保育園落選を狙う人が増えることで、本当に保育を必要としている人が園に入れないといった弊害が出てきます。もし、「待機リスト○番目です」という知らせが来た場合、本当に入りたい園を避けて渋々違う園に入る人もいるでしょう。
そのせいで、兄姉がいる園と違う園になったとしたら、送迎の負担なども増え、悪影響を及ぼすことは目に見えています。
また、待機を待つという選択をしても、保育園に入れるか入れないのかという状況がぎりぎりまで続くと、それは保育を必要とする家庭にとっては大きなストレスになります。仕事との兼ね合いもあり、不確実な状況が精神的な負担を増やしてしまうのです。
このように、保育園落選を狙う方がいると、本当に保育が必要な人に迷惑がかかってしまう恐れがあるのです。
自治体の業務が増える
第2の問題点は、自治体の業務が増えること。保育園落選を狙う人の申し込みも、きちんと評価をするため、その分の業務が増え、負担になることは間違いないでしょう。不必要な申し込みに人や時間を割くことで、他の業務に手を付けられずに悪影響を及ぼしてしまいます。
待機児童が把握できない
また、保育園落選を落選を狙う人がいることで、落ちた人が育休延長希望なのか、待機児童なのかわからず、正確な保育ニーズが把握できないという問題点もあります。
隠れ待機児童と言って「特定の保育園以外入園を希望しない」「育児休業を延長したい」理由の人たちがいます。
隠れ待機児童は、自治体が本当に保育が必要な人を把握することを難しくしてしまう可能性があるのです。
川崎市、「隠れ待機児童」が増加 落選狙いに市長「国制度に課題」(毎日新聞) – Yahoo!ニュース
長期の育休取得は職場に負担をかける
職場に育休中の代替要員がいない場合は、長期の育休取得が職場に悪影響を与える場合があります。人材不足の職場も多いのが実際でしょう。負担をかけているかもしれないという状況は、育休を取得する立場だとストレスになってしまいます。しかし、育休取得は法的に認められていることで、企業などは適応する必要があるといわざるを得ません。
わざと落選しなくてもよい社会を目指したい
落選狙いの問題点を述べてきましたが、落選を狙う人にも理由があるわけで、活用できる制度がある場合は、それを使わない手はありません。制度上の問題があると言わざるを得ません。
育休の延長を希望している欄を設けている自治体がある
このような状況を改善しようと、「育休延長を希望している」という欄にチェックマーク☑を入れるだけで落選通知書を発行する自治体が出てきました。
ただし、自治体によって取り入れていないところもあるので要注意。自治体によっては審査を厳しくしているところもあるので、各自治体のルールをよく確認する必要があるといえるでしょう。
育児休暇に対する社会的理解
保育園落選を狙う人を減らすためには、上記のように育休延長を希望することを認めるような自治体の動きも大切ですが、社会的に柔軟な働き方を認めたり、男性の育児参加を推進していく必要があります。
育児休暇を取得する人は男性も含め増えてきましたが、短時間勤務やテレワークなどといった柔軟な働き方が進んでいるとは言い難いでしょう。育児と仕事の両立を目指すためにも、社会的なサポートは必須と言えます。
年度途中でも入園しやすい仕組み
また地域によっては、年度途中だと定員に空きがなく入園しにくい仕組みにも問題があります。子どもが入園できないと、働きたくても働くことができないのです。
このような問題を解消するためには、定員に余裕を持たせ、年度途中でも入園できるようにする必要があるでしょう。もちろん、保育士不足の解消もセットです。
2025年4月から落選狙いが厳しくなる?できなくなる?
ただ、厚生労働省は育児給付延長目的で落選狙いをすることを、審査を厳格化することで止めようとしています。
「落選狙い」人気保育所だけ申し込み、育休給付延長目的の申請続出…厚労省が審査厳格化へ(読売新聞オンライン) – Yahoo!ニュース
このニュースを簡単にまとめると、
○落選狙いをする人が多く、本当に保育を必要としている方が入所できない例もある。
○落選狙いをする人に対応するため、業務の負担が大きくなっている
○厚生労働省は、このような悪影響を防ぐために、来年4月から審査を厳しくして落選狙いを認めない方向
といった感じですかね。
私的には、このような対応はよくないと考えております。
厚生労働省のコメントをみていきましょう。
「落選狙いを1件でも減らしたい。男性の育休取得率の向上や時短勤務の支援策拡充を目指す」
→順番が逆ではないでしょうか。パパの育休取得率を向上させる(数日の取得では意味がない)、時短勤務などの柔軟な働き方も広がった社会になってから、育児給付延長目的の申請への対応を考えてもよいのではないのでしょうか。
東京大学山口教授のコメントも見ていきます。
「保育所に通うことは、子どもの発達にプラスになる可能性が高い。給付の財源にも限りがあるため、審査の厳格化は合理的だ」
→保育所の子どもへの発達は、安心・安全で質の高い保育を行う施設ならプラスになると思います。しかし、保育士不足で先生たちもギリギリの状態で保育を行っています。不適切保育という言葉も聞かれるようになってきました。そんな中、余裕を持った保育ができるとは考えづらく、その状況がさらなる保育士不足を招くという悪循環を招いています。
そして、一番の問題は「給付財源に限りがある」というコメント。日本は、子どもに対してお金を使わない国。限りがあるのではなく、そもそも子育て支援にお金を割こうとは思っていないのです。子育て増税のお金はどこに使われるのでしょうか。
柔軟な働き方を認めたり、制度を整えてから審査の厳格化を行ってほしいものです。そうしなければ、ますます子育てしにくい苦になってしまう恐れがあるでしょう。
おわりに
以上、『保育園落選狙いが厳しくなる?できなくなる?~育児給付を延長したい人にとっては悲報~』ということで、保育園落選をねらう理由や問題点、育児給付を延長できなくなる恐れがあることについて述べさせてもらいました。
育児給付の仕組みが、延長できるようになっている以上、子どもと側にいたい人は利用したいと考えまるのが自然。希望すれば2年取れるような仕組みを作ったり、柔軟な働き方ができる社会を実現するといった対応を先に行っていってほしいものです。
それでは、またやー!
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